浅葱





 遊園地で必ず見かけるもの、

 子どもに離された無数の風船。



 
 懐かしい冬の香りがした

 しばし

 思い出に浸る。

 前を通り過ぎる子供たちはきっと

 僕よりもずっと遅いときの流れを感じてる

 いつの間にか

 速く、僕に襲い掛かるようになった”時”

 子ども達には優しいんだね。

 
 僕は楽しめてるのかな?

 大きくなった僕は

 何かを手に入れられたかな。



  
 自転車で5分

 近くの公園

 小さい頃は遠くて大きなところだったのに

 随分と近い
 
 小さい公園だ。

 触れたらきっと消えてしまう

 思い出を眺めながら

 手に入れたものは見つけられない。

 失ったものばかり。




 あの頃の夢

 いつしか遠い存在になって

 鮮明に浮かんでた未来見えなくなった

 現実を生きることに精一杯で

 ただ生きてるんだ。



 
 いつの間にか大人になった僕はきっと

 ふいに、大切なものを手離してしまったんだ。

 遊園地で飛ばしてしまった、風船みたいに。